空き家を購入してリフォームし、理想の暮らしを実現する。そんな夢を抱いている人も多いのではないでしょうか?最近では「空き家バンク」や自治体の助成金制度なども充実し、空き家リフォームはひとつのトレンドになっています。
しかし、夢のマイホームを手に入れる前に、必ず押さえておきたい「見落としがちなポイント」があります。それが、部屋の傾きや床下の白アリ被害など、構造上の問題です。
今回は、空き家リフォームにおける注意点やチェックすべきポイント、実際に遭遇した事例や対策法までしっかりお届けします。
◆ 1. 空き家リフォームの落とし穴は「見えない部分」
空き家は長年使われていないことが多く、経年劣化や湿気、害虫被害などが進行している場合があります。中でも特に注意すべきなのが、以下の2点です。
■ 部屋の傾き
空き家を内見しているときに、「何となく床が斜めな気がする」と感じたことはありませんか?実はこれ、単なる気のせいではないことが多いです。
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家屋が沈下している(基礎の不均等沈下)
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木材の劣化による床組のたわみ
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柱や梁の変形
などが原因で、床や部屋全体が傾いている可能性があります。水平器を使えば確認できますし、スマホアプリでも簡易的にチェック可能です。
傾きが激しい場合、そのままリフォームしても住み心地が悪いだけでなく、扉が自然に開いたり、家具が傾いて倒れるリスクもあるため、必ず構造から補強する必要があります。
■ 床下の白アリ被害
もうひとつ見逃せないのが、白アリ(シロアリ)による被害です。空き家は湿気がこもりやすく、白アリにとっては絶好の繁殖環境。
特に以下の場所が被害に遭いやすいです:
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水回り(浴室・キッチン・洗面所)
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日当たりの悪い北側の床下
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通気口が塞がれている場所
木材がボロボロになっている場合、触っただけで崩れることも。気づかずにその上に床材を貼ってしまうと、あとから床が抜けてしまうこともあるため、事前の点検と駆除は必須です。
◆ 2. 実際の現場で遭遇した「空き家あるある」
私たちが携わったリフォーム現場で、特に印象的だったエピソードをご紹介します。
◎ Case1:玄関から奥に行くほど床が傾いている!
ある平屋の空き家をリフォームした際、内見時には「少しだけ床が傾いているかな?」程度でしたが、いざ工事に入ると床の高低差が5cm以上あることが判明。
結果として、
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床下をすべて解体
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基礎の一部を打ち直し
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新しい大引きと根太で水平を取り直す
という大がかりな作業になりました。追加費用も50万円以上かかりましたが、見逃していたら危険でした。
◎ Case2:床下が白アリの巣窟に!
別の現場では、リビングの床を剥がした瞬間、大量の白アリが出現。すでに根太(ねだ)や土台がボロボロで、スリッパで踏んだだけでも沈むレベル。
ここでは、
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白アリの駆除作業
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腐った部材の交換
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防蟻処理(薬剤散布)
を行い、床下を全面再構築。早期発見が命取りになるケースでした。
◆ 3. チェックすべきポイント一覧
空き家を購入・リフォームする際、以下のポイントを必ず確認しましょう。
チェックポイント | 確認方法 | 注意点 |
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床の傾き | 水平器、ビー玉転がし | 傾きが3cm以上なら再施工を検討 |
白アリの有無 | 専門業者の調査 | 年数が経っている家は全体点検を |
床下の湿気 | 防湿シートの有無、換気口確認 | 湿気が多いとカビ・白アリの原因に |
柱の傾き | レーザーや下げ振り | 外壁だけでなく内壁の柱も確認 |
◆ 4. 失敗しないためのポイント
空き家リフォームを成功させるには、以下のような事前対策が重要です:
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リフォーム前に必ず構造チェックを行う(専門業者に依頼)
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インスペクション(住宅診断)を活用する
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見積もりは"解体後の追加費用"も含めて考える
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自分では見えない床下・天井裏はプロに任せる
◆ まとめ:空き家再生は事前チェックが9割!
空き家のリフォームにはロマンがあります。リノベーションによって自分好みの空間に生まれ変わる体験は、何にも代えがたい喜びがあります。
しかしその一方で、構造上の問題に気づかずに着手すると、膨大な費用や時間がかかってしまうこともあるのです。
「部屋の傾き」「白アリ被害」「湿気」「柱の劣化」など、見えない場所に潜むリスクをしっかり把握し、信頼できるプロとともにリフォームを進めることが成功のカギです。
最初の段階での"見極め"が、理想の暮らしへの第一歩となります。